「起立、礼」
最後の挨拶で、教室から徐々に人が少なくなる放課後
俺たちは黙々と、日直の仕事の最終段階に入っていた
前と後ろにある連絡事項を記入する黒板自体を綺麗にするのは当たり前で、レーンの粉々になったチョークを取り除き、粉も集めてゴミ箱に捨てる
あとはチョーク入れの整理。ほとんどやらないけど、浅川は几帳面だからやるだろうと予想ついていた
ここでも小さくなったチョークは取り、白いチョークは多めに本数を揃えようと新しいのを補充する
やっていくうちにちょっとだけ楽しくなってきた。本当はバイトが入ってるからと嘘つこうとした自分が恥ずかしくなる
「よし、いいかな」
気がつけば帰りのホームルームが終わって30分以上経っていた
緑色が映える光の反射を放つ黒板、雑巾で拭いて粉が落ちていない清潔感あるレーンに、長さが整い、色が揃って使いやすいチョーク
クリーナーも掃除して、教卓前のにも粉は見当たらない
完璧だ、文句の付け所がない
満足いく出来に口元が緩む
「大丈夫だよね、桑井くん……桑井くん?」
「…え、わぁっ!」
突然覗き込まれて、飛びのく体。バランスを崩して教卓によっ掛かった
「……あ、やばっ!」
一瞬だけの傾き。補充していて、箱から剥き出しになっていたチョークの何本かが机上で一直線に転がる
.


