「何、言ってるの?



あ、当たり前じゃん。」



突然投げかけられた言葉に動揺するが、どうにか言葉をかえす。



まるで、自分のことを愛しているのかと尋ねるように聞こえて。



「じゃあさ、いい加減そういうことしようよ。



好き同士なら問題ないだろ。」.



今日の礼奈の発言が原因であることは一目瞭然で、



彼の我慢はもう限界を超えていたようだ。





彼の綺麗な顔がだんだんと近づいてくる。



それと同時に自分の瞳が潤んでくるのに気付く。



緩みそうになる涙腺を誤魔化すために、自ら彼の唇にそっと重ねる。



頬に伝う冷たい感触、唇が離れて彼がじっと見つめる。



「俺ってそんなにキス下手?」



苦笑いする彼は答えなんて分かってるはずなのに知らないふりをする。




そして私も、





彼の心の声を聞こえないふりをした。