「良かった」


「あんた、名前は?」




風が強くなってきたからとりあえずマンションの中に入った。


やっと明るいところで男を見ると、優しそうな目をしていた。




「瀬川 良羽(セガワ ラウ)」


「あたしは三好 密(ミヨシ ミツ)。よろしく」




良羽なんて、珍しい名前。聞いたことない。


ぽつりとそう言えば良羽は密も珍しいと言って笑った。


エレベーターの降りるボタンを押してしばらく待つ。