「……とりあえず、心配だから降りてきてよ」 「しょうがないな」 くるっと体の向きを変え、すとんと両足を揃えて降りる。 男に近づいて、初めてまともに顔を見た。 あたしよりも年上だろうこの人は特別かっこいいわけではない。 ずば抜けて身長が高いというわけでもなさそうだ。 でもあたしを見てほっとしたような顔は、あたしの心を温かくさせた。