「俺は、あんたじゃなくて
佐野 翔真。」


『………。』



どうして――…。

どうして、助けてくれたんだろ?


「さっきの奴らに、やられたのか?」


『……これは、自分で転けたの…。』



「あっ……。そう。」



翔真くんは 呆れたようにため息をついた。



「ん。これ着て帰れ。」



『えっ……?』


翔真くんは 白いTシャツを
差し出した。



「そんな格好じゃ、帰れないだろ?」


たっ確かに…。


あたしの制服は 転けたせいで
泥だらけになっていた。



『ありがとう。』