「はい。あなたのお家かい匂う甘い香りは何の香りですか?」
「蒸しパンじゃないの」
面倒くさそうな返事が返ってきました。
「蒸しパン?蒸しパンとは何ですか」
「構ってられない」
男の子は吐き捨てるように言って、歩き出しました。
その時、重大な事に気が付きました。
私は、急いで男の子の跡を追いました。
「何度も申し訳ないのですが、青丹高校の生徒さんですよね?」
男の子は返事をしてくれません。
人間、無視されるのが一番こたえます。
私は勇気を出して、もう一度口を開きました。
「学校に向かわれているんですよね?」
また、無視です。

