次の日の昼過ぎに、水島が手土産を携えて現れた。


手代木は彼を居間に通し取材に応じた。

官憲が来たときのことと、連れて行かれたときのことを話した。


水島は熱心にメモを取った。


「手代木さん。

これが記事になれば政府の奴らも考えが変わりますよ」


「そうか」


「手代木さんは、

『ペンは剣より強し』

という言葉を知っていますか」


「どういう意味なんだ?」


「これからは民の声が世の中を動かす時代なんですよ。

昔のように剣をふるえばいいという時代は終わったんです」

水島は熱く語った。