入学して1週間。

蒼とはなかなか会えないけど、毎日電話したり、蒼の練習が早く終わった日には会いに来てくれたり、それなりに上手くやっていた。

学校ではクラスにも慣れて、結構たくさん友達が出来た。

やっぱり茜といることが多いけど、もう一人仲のいい友達ができたんだ。

―上野 明日歌
明日歌はあたしや茜よりも小柄で、ミルクティー色のショートボブの可愛らしい女の子だ。

あたし達が行ってた中学の隣の校区から通っている。

あたし、茜、明日歌。

真面目な子が多いこの学校では異色の3人で、最初はあまり誰も話してくれなかったけど、自分で言うのもなんだけど、あたし達のさっぱりした性格のおかげで段々みんなが話しかけてくれるようになったんだ。

その中でも、明日歌と同じ中学出身の男の子3人とは自然と一緒にいることが多くなった。


まずは坂本 大地

入学式の日に掲示板の前で大声で叫んでいた男だ。

最初は男のくせに煩いやつ、と思ってたけど、さっぱりしていて、クラスのムードメーカーだ。

男女問わず明るく接するから、意外とモテるらしい。


次に宮田 仁

大地に比べると小柄で、いつもちょこまか動いている。

少したれ目でいつもニコニコしてる。

なんだか見てるだけで、こっちまでにこやかな気持ちになるから不思議だ。



そして…橋本 陵弥

身長は他の二人の真ん中。

あまり口数は多くないけど、優しい目をしている。
とあたしは思う。

茜は無表情で分からない男って言ってるけど。

自分から話すことはあまりないけど、話しかけるときちんと相手の目を見て答える人だった。

他の二人とはすぐに打ち解けられたけど、陵弥とはなかなか打ち解けられなかったあたしは、少しでも親しみやすいように勝手に「陵ちゃん」と呼び始めた。

「陵ちゃん」ってキャラじゃないだろう、と大地も明日歌も爆笑だったけど…

当の本人は最初何とも言えない顔で固まってたけど、そのうち「プッ」と吹き出して、
「変な女だな」って笑ってくれたんだ。


この時のあたしは、純粋に友達を作りたいだけで、頭には蒼のことしかなくて。

まさかこれが運命の出会いだったとは思いもしなかった。