あたしが「うん」と小さく頷くと、蒼は抱きしめていた腕を緩めてあたしの顔を覗きこんだ。

「てか、俺の方が心配なんやけど。俺の学校はほとんど男ばっかりやけど、お前共学やし。浮気すんなよ。」

蒼がそんな弱気なことを言うのが珍しくて、心配してくれてることが嬉しくて、思わず笑ってしまった。

「笑ってんじゃねぇよ」って不機嫌な声が聞こえたと思ったら、蒼の大きな手があたしの頭の後ろにあって、急に顔を引き寄せられた。

「んっ…」
思わず声が漏れるほどの深いキス。

やっと唇が離れたと思ったら、ベッドに押し倒されていた。

あたし達は今までに何度も抱き合ってきたけど、こんな蒼を見るのは初めてだった。

いつも自信満々な蒼が、今は不安そうな顔であたしを見下ろしている。

蒼はあたしの肩に顔を埋めて、呟いた。

「情けねーな。俺。俺達は大丈夫とか言っときながら、ほんとは心配でしょうがない。お前のことは信じてるのにな。」

不安そうな蒼には申し訳ないけど、あたしはキュンキュンしてしまった。

こんな蒼は初めて見たんだ。

「あたしが好きなのは蒼だけだよ。蒼が一番よく知ってるでしょ。」

あたしが言うと、蒼は「うん。知ってる。」って言って笑った。

「でもやっぱりお前が俺のって確かめさせて。」

そう言うと、さっきよりも深いキスを落とした。


その日、蒼に抱かれながらあたしは祈ったんだ。

蒼とずっと一緒にいられますように…

蒼がいつもあたしの隣で笑っていてくれますように…