火がついたように泣き叫ぶ空。

十数段ある階段を真っ逆さまに落ちたのだ。


「……!!!」


慌てて抱き起こすけど、どうしていいかわからない。

律はまだ仕事中だろう。

だけど、躊躇する余裕もなかった。

祈るようにケータイを握りしめる。


「もしもし?」


律の声が聞こえたと同時に不安が溢れ出す。


「落ちちゃった!」

「え?なにが?」

「空ちゃんがっ…階段、一気に…っ!!」


頭が真っ白で、全然説明できなくて、私も泣きそう。


「空、どこかケガしてる?」

「わかんないっ!」

「頭打った?」

「たぶん…」

「でも、ちゃんと泣いてるよね?だったら大丈夫だから、落ち着いて病院に連れておいで」

「律…っ!帰ってきて…!」


涙がこぼれた、そのとき。


「柚希!お前がしっかりしないでどうすんだよ!?」