「そっか。 あ、今度この近くの学校で試合するから見に来なよ!」

老人はまた優しく笑った。
「そうじゃな。見に行かせてもらうよ。」

草太はボールを拾った。

「じゃあもう帰るね!」

停めてある自転車に向かい歩きだした草太に、老人は声をかけた。

「少年、サッカーは好きか?」

草太は老人の笑顔に負けない顔をし、親指を立てて答えた。

「もちろん!」

その答えに老人は頷き、足元に置いてあった箱に手をかけた。

「これを君にあげよう。」
老人が箱の蓋を開けると、中にはサッカーのスパイクが入っていた。

「うわっ!スパイクだ!こんなの貰っていいの?」

老人は静かに頷いた。

「このスパイクは魔法のスパイクでな、鋭く曲がるカーブと、寸分の狂いもないコントロールを得れるスパイクなんじゃよ。」


今年で中3になった草太にはさすがにその話は信じられなかった。

「スパイク履いただけじゃ無理でしょ〜。」

老人はスパイクを草太に手渡した。

「次の試合で履いてみなさい。そうすればわかるから。」

草太はスパイクを持ち帰り、次の試合で使うことにした。