竹内さんの彼氏の話だ。
それを僕に話す高橋の声には、いつもと違った、なんというかちょっとしたトゲのようなものを感じた。
きっと嫉妬心なのだろう。
聞く側の僕の心の中の嫉妬心と、それはしっかり共鳴したように思えたから。

とにかく竹内さんの彼氏の話だ。

竹内さんの彼氏は同い年らしい。
その彼氏は体が丈夫なことが唯一の取り柄とも言えるくらい、体が丈夫なのだそうだ。
風邪をひいても一晩で治るくらいに?と嫉妬心まじりの冗談を高橋に言うと、なんで分かったんだ!?と高橋がびっくりした顔でこちらを睨んできたから、僕はその場で椅子ごとひっくりかえりそうなくらいに驚いた。
なんでも風邪をひいた彼氏が珍しく3日、4日熱がひかず病院に行くと電話したきり行方が分からなくなったそうだ。

そして竹内さんの携帯に奇妙ないたずら電話がかかってきたらしい。
明日は雨が降るとか、そんな電話だったそうだが。
そしてそのあと彼氏からも無事に電話がきたらしいが、その時の彼氏は妙なことを口にしたのだ。
なんかハッピーアイランドがどうとかこうとか…。

竹内さんの話が聞けたのは嬉しいが、正直彼氏のことなんて聞きたくなかったし、ましてやこんな奇妙な話どうでもよかった。