電話した二日後、僕は高橋と会った。
あの電話で久しぶりに会おうという話になり、僕らは高校時代たびたび利用したファストフード店で待ち合わせすることにした。
当時と同じように僕が若干遅刻することになったのだが、携帯電話で高橋に電話をすると、相変わらずだな、と電話越しに笑われた。
やっぱりこういうときに携帯電話があるのは便利だ。

店に着いて、高橋を見つけ、僕は彼の目の前の椅子に腰かけた。

店は午後一時にしては比較的空いていた。
空いていたというか僕ら以外に客はいなかった。
退屈な街のファストフード店の店員は、退屈そうな顔をしていた。
まだこの店が存在していることを感謝すべきなのだろうか?
久しぶりに帰省し、若干変わった街の光景を見てしまったこともあり僕は感謝すべきかもなと思った。

僕が席に着くと高橋はニコニコしながら、えびくん!と言った。
久しぶりだねと僕が言うと、高橋が、そんなことよりさ、と話しかけてきた。
人が挨拶してんのに、そんなこととはなんだ。

ただ、彼の話を聞いた後で、僕は自分の挨拶が確かにどうでもいいような【そんなこと】であったと感じることになる。