そして残念なことに僕はいつまで経っても、正解を導き出せないような気がする。

それでも僕は再び頭をひねり、与えられたキーワードを繰り返し呪文のように唱えながら、イメージを膨らませていった。
少し落ち着いたのか、今度は比較的まともなイメージを造り出すことができた。

もちろんホロホロらーめんの詳細にまでは足を踏み入れることはできなかったが。

こんなイメージだ。

店の中にはテーブル席がいくつか…四人がけのテーブルだ。…六つくらいだろうか。
そして調理場に面してカウンター席がある。
どの席からもある程度見えるようにテレビが一台置いてある。
テレビでは野球中継が放送され、客たちはどちらのチームを応援するわけでもなくぼんやりとテレビに見ている。
もしくは新聞を読んだり、店に用意されている週刊誌を読んだり。
店の壁面には幾つかの水墨画がかけられている。
もちろんご主人が書いたものだ。

うんうん、悪くないイメージだ。
できの悪い解答者だってやるときゃやるんだ。

一段落ついたところで僕は彼に質問をした。
当然ホロホロらーめんの詳細についてだ。

「ところでホロホロらーめんってどんなラーメンなの?」

彼は目を閉じた。
じっくりと思い出しているように見えた。
そしてきっと説明するための正確な言葉を探しているのだろう。

その光景は待合室の窓から差し込む日光を受け、ある種の神聖な儀式を執り行う神官のような表情に見えた。