それはどこにでもあるような小さな公園。
あなたの町にも、僕の町にも。

入り口には、緑地公園と書かれた丸太を模した立て札があるのだが、残念なことにそれはとても古ぼけていて至るところで塗料がはげ、みすぼらしく感じる。

入り口からの視界には、右に白く、子供なら四人が掛けることのできそうなベンチが二つ。
そのベンチの奥に揺りかごみたいな四人乗りの遊具。
視界の左側には、花...おそらくチューリップを巨大化したような滑り台がある。
葉っぱが四つ、垂れていて、そのうち二つは滑り台、残り二つは滑り台へと登る階段だ。
子供たちは階段の葉っぱを上り、滑り台の葉っぱから下っていく。
僕は遊具で笑いながら遊ぶ子供たちを想像する。

実に微笑ましい平和な空間。

ただ、悲しいかな。
その、チューリップを巨大化した滑り台には...肝心なチューリップの花は咲いていない。
ないんだ...鮮やかな色をしたチューリップの花が...。

花を失った支柱の茎だけが寂しく今もそこに残っている。
支えるべき花もないというのに。

かつてそこにあった花のことを思うとなんだか寂しく感じる。
かつて、そこに咲いていた、赤いチューリップの花。

僕はそこに咲いていた花を昔見ていたのだ。