僕は鳥だ。
翼を大きく広げて、大空を羽ばたく。
眼下には朝の都会の姿が広がっている。
人間たちは何だってこんな物を造り出してきたのだろう?
やたらバカでかい建物ばかりが目につく。
そんな建物の間をミミズみたいな細長いやつが、高速で行き来している。
...電車とか新幹線とかいう名前らしい。
そして、蟻みたいに小さな粒たちが至る所で活動している...人間だ。

蟻みたいに小さな彼らは、だが、蟻とは違って、彼らの思いのままに様々な方向へ進んでいく。
蟻みたいに整った行進ではない。
その光景が僕をひどく苛立たせる。

彼らが何を考え、これからどこに向かうのか、知るすべはない。
もっとも、知りたいとも思わないが。

小さな蟻の集団の一部をクローズアップしてみる。

彼らはそれぞれに違っている。
大きさが微妙に違い、身に纏っている洋服というものも、それぞれに違う。
そこも蟻とは違う。
蟻というやつは、どいつもだいたい同じで...そしてだいたい...黒い。

でも、この人間の集団は色とりどりでカラフルだ。