普段なら、携帯電話に着信があれば画面に表示される発信先を確認してから電話に出るのだが、今回はそうしなかった。
もちろんそれは着信メロディのせいなのだが…。
ミサキは着信メロディを聴いて、当然彼氏からの電話だと思ったのだ。
そしたら…あぁなった。

ミサキの携帯電話の着信履歴には彼氏の名前が縦に幾つも並んでいた。
数えてみると、30件中、23件が彼氏からの着信だった。
残りはバイト先だったり、母親からの着信で、そして一件が先程の【通知不可能】だった。

はぁ…ミサキは溜め息をついた。
この三日間、彼氏からは電話がなく、またミサキの方から彼氏の携帯にかけても、彼が電話に出ることはなかった。
それどころか、聞こえてくるアナウンスはいつも同じだった。

「お客様がおかけになった番号は、電波が届かない場所にあるか、電源が入っていないためかかりません。ピーという発信音の後に…」

この三日間ミサキが彼の携帯から聞いたのはこの女性の声のアナウンスばかりだった。
その度に、ミサキは彼の携帯にメッセージを残したが、彼からの連絡は全くなかった。