仕事が終わった後に、居酒屋でしばらく飲んでいたせいでユウタは見事に終電を逃してしまった。

「うわぁ、どじったなぁ…。ついつい飲み過ぎちゃった。」

ユウタは度々こんな風に飲み過ぎて終電を逃すことがあった。今回に限ったことではない。
飲んでいると楽しくて、つい時間を忘れてしまうのだ。

僕も若い頃は同じように終電を逃してしまったことがあった。一度ではなく、何度も。
理由はユウタと同じだ。
…飲み過ぎたのだ。
帰宅するにはタクシーを拾うという方法もあるのだが、僕はタクシーをほとんど使った事がなく、タクシーを使う金があるならコンビニでビールでも買って、始発電車の時間まで公園などで飲んだ方がましだ。

僕はそう考えている。

どうやらユウタも僕と同じように考えたようだ。

「まさか30歳間近でまたこんなことするとはなぁ。」

ユウタも大学生の頃には終電過ぎまで飲んで、コンビニでビールやつまみを買い、公園や駅のベンチで、始発電車を待つ間一人きりでささやかな飲み会を開いたものだった。

さてと…コンビニでも行くか…。

居酒屋を出たユウタは駅の近くにあるコンビニへ向かった。
始発電車の時刻まではあと数時間…。

そもそも何で終電のこと忘れちゃうくらい飲んでしまったんだっけ…?

あっ…そうだ。
明日は仕事休みだからか。

だいぶ酔ってるな、俺。