僕は長引く風邪に不安を感じ、バス乗って病院へ行くところだった。
バス停で随分待たされ、そしてバスに乗り、疲れのためかバスの中で寝てしまった。

そして…目を覚ますと…海だった。

やはりどう考えても全くわけが分からない。
頭痛と発熱で僕の頭はおかしくなってしまったのだろうか?
これは…いわゆる幻覚というやつなんだろうか?

そう考えながら僕はあることにふと気がついた。

頭痛が治まっている。
額に手をあてると、どうやら熱も下がっているようだった。

これは…いったい…?
やっぱりこれは幻覚なのだろうか?

とりあえず僕はポケットから携帯電話を取り出して画面を見た。
アンテナ表示の部分に"圏外"と赤い文字が表示されていた。

どうやらここは電波が届いていないようだ。

僕はこの状況をミサキに伝えたかった。
ミサキはいったいどう思うだろう…。

だがそれもかなわない。
携帯電話は圏外で使えないのだ。

さて…どうしたものか…。

僕はひとまずバスを降りて、綺麗な海へと歩いていった。

近づいてみると、海はバスの中から眺めた以上に綺麗で、水は澄みきっていた。
僕はその澄みきった海に手を浸し、水の冷たさを確認した。
そしてその手をすっと舐めてみた。
…塩からい。

どうやら紛れもなく本物の海のようだ。
僕はバスに乗っている間に海に連れてこられたらしい。
…海…違う。

僕は周りを見渡した。
周りには海が広がっている。
しかも僕の周り360゜を海が囲っていた。

…島だ。
ここは島なんだ。

僕はバスに乗ったまま島に着いたのだ。
あまりにもおかしな事が続いたせいか、バスがどうやって島に着いたのかなど僕は考えなかった。

とにかく僕は島にいる。