結局、バス停に着いた僕は、雨の降るなか30分ほどバスを待った。
ようやくバスに乗り込み、座席に座ると、待ちくたびれたせいか、ひどく疲れを感じた。
きっと発熱の影響もあるのだろう。

普段なら病院まで20分くらいで着くのだろうが、この渋滞ではそうもいかないだろう。

そんなことを考えてるうちに、僕は寝てしまった。
頭と体が休息を欲していたのだ。

僕はどれくらいの時間眠っていたのだろう…?

目を覚ました時、バスは止まっていた。
信号待ちをしているわけではない。
音はなく、体に振動も感じない…エンジンは止まっているようだ。

バス内を見ると乗客の姿はなかった。
それだけでなく運転手までもがいなくなっていた。

…どういうことだ?
僕は終点まで眠ってしまったのだろうか…。
もしそうなら運転手は終点に着いた時に僕を起こすはずだ。

どう考えてもこれはおかしい。
僕は混乱してしまった。

バスの窓から外を見てみた。
綺麗な海が見える。
実に綺麗な海だ。
素晴らしく澄んだ青い海。

…海??

あまりにも混乱していた僕は、一瞬綺麗な海に感動し、自分の置かれた状況の不可解さに気付くのが遅れた。

病院を通る路線に海などないのだ。
僕の住む街は海に面してはいない。

考えるんだ。