さて…もう四日目だ。
さすがに僕は病院へ行くことにした。
きっとその方がいいだろう。
そして病院へ行く前にミサキに電話をかけた。
受話口から音楽が聞こえてくる。
ミサキの好きな女性アーティストの曲だ。
確か失恋を歌った曲だったような…。
そう考えていると音楽は急に止まり、代わりにミサキの声がした。

「朝っぱらからどうしたの?」

まだ寝ていたのだろうか、声の調子が普段とちょっと違う。

「ごめん、まだ寝てたかな?あのさぁ、まだ熱が下がらないし頭も痛いんだよね。今から病院に行ってくるわ。」

そう言うと、ミサキが

「うんうん、絶対その方がいいよ。やっと行く気になったか。」

と少し笑いながら言った。

「まあ、さすがにね。また病院から帰ったら電話するよ。」

「分かった。どうだったか後で聞かせてね!」

電話を切り、食事を済ませた後シャワーを浴び身支度をした。

部屋を出て、雨の降るなか傘をさし僕はバス停へと向かった。
ちなみに僕のはコンビニで買ったシンプルな透明の傘だ。

バス停までは歩いてだいたい五分くらいだ。
通りには誰もいなかった。
さっき窓から見えた人たちは、きっともう目的地に着いたんだろう。
通勤ラッシュは終わってる時間だしね。

それにしても、誰も歩いていない通りというのは不思議なものだった。
自分が間違った場所にいるように思えてくる。

だが対照的に、車道はたくさんの車で渋滞していた。
雨のせいだ…。
雨の日はいつも渋滞になる。

こりゃバスは遅れそうだ。