酷い頭痛と高熱がもう三日間続いていた。
僕にしてはそれは珍しいことだ。
子供の頃から体は丈夫で、あまり風邪をひいたこともなければ、たとえ風邪をひいても翌日にはすっかりよくなり、まるでそれが夢だったかのようにケロッとして学校に通ったものだったから。

だが、今回は違っていた。

頭痛と発熱はもう三日も続いている。
こんなの生まれて初めての経験だ。
僕が覚えている限りでは。

だがミサキ(僕の彼女の名前だ)が言うには、いつも風邪が一晩寝ただけで治ってしまう方がどうかしているとのことだ。
そう言われてみると確かにそうかもしれないなと思った。

僕が風邪をひいてからミサキは心配して何度も電話をかけてきた。
電話の度に、大丈夫?病院に行ってみたら?
と言ってくれたが、僕はその度に大丈夫、大丈夫と答えた。

症状は治まらず四日目をむかえた。
さすがに僕は不安になってきた。
明らかにいつもとは違う…そんな感じがした。

窓際まで行き、外を眺めると雨がぱらついていた。
眼下の通りを歩く人たちはみな傘をさしている。
赤や青や、あるいはチェック柄…そんな傘が見える。
空は雨雲に覆われていて、太陽は全く見えなかった。
そういえば昨日の夜、天気予報で明日は雨だと言っていたのを思い出した。
テレビに写っていたのは眼鏡が似合っていない気象予報士だった。
眼鏡が似合っていないせいだろうか?
その男性が凄く胡散臭く見えて、本当にその予報が当たるのかと疑ったくらいだ。

だが彼の予報はちゃんと当たった。