あなたの住む部屋の前に、僕はまた立っている。正確には、あなたがいた、部屋の前だ。
今はもうここにはあなたはいない。
前にここに来たとき、僕は何かを書いてみようと決心した。
あのまだ寒さの残る真夜中に。
そしてこうして、とりあえずは、書いてみた。
あなたがいつか知りたがって、でも僕がうまく説明できなかった高橋の話を。

書いている間、僕はずっと懐かしさに包まれていた。
ほんと何年も前のこととは思えないくらいに…それは僕が手を伸ばせば届きそうなくらいに…僕のすぐ近くにあった。
でもやっぱり時間は確実に過ぎた。
にも関わらず僕はあれから同じ場所をグルグル回っているだけのような気がする。
何周も観覧車に乗り続け、しまいにはそこに住み着いてしまったような感じだ。上がったり、下がったり。
そこにあなたがはいりこんできた。

ありがとう。