ハッピーエンド

ただの高校生の女の子。



ただの普通の女の子。



僕の理想は砕かれた。



彼女が普通の女の子だってやっと気づいた。



だから僕は彼女のことが知りたい。



通行人としてじゃなく、柏木 誉として認識して欲しい。



そう願ってしまった。



理想が砕かれたというのに、僕は不思議と落胆などしていなかった。



手の届かないものが、やっと近くに下りてきた。



もしかしたら僕も、見上げるばかりじゃなく隣に立つことが出来るかもしれない。



そして出来ることならば、彼女が立ち止まれなくて困っている時に手を差し伸べてあげたい。



走り去った彼女の光景は、僕の脳裏に焼きついていた。



わたわたと騒がしく歩いていく彼女を、他の学校のみんなは知っているのだろうか。