ハッピーエンド

この景色を独り占めしているのは、何だかもったいない。



けれど僕だって、消しゴムを買いに行くという目的が無ければ今日こんな月を眺めることは出来なかっただろう。



コンビニで消しゴムを買い、ふいに食べたくなったマカロニサラダも買って、帰り道を歩くときも同じ。



誰も居ない。



月と、僕以外は。



帰り道に坂を上りながらの方が、月が見やすい。



僕の歩みは、益々遅くなっていたと思う。



と、誰かが坂を下りてくる。



それも、結構速いスピードで。



何でこんな夜に、そんなにも急ぐ必要があるのかと僕は目を凝らす。



犬を連れている。



それも、あまり躾のなっていない犬だ。