ハッピーエンド

少しの沈黙。



大丈夫。



分かっているな。



これは。



「………テストのことだよ。お前ももう帰って、勉強しろ」



来月頭が前期末テストである。



「ええー。希有子かしこいから大丈夫ですよ。明日もバイト入れてるし。あ、じゃあ明日お店に来てくださいよ。サービスしますよ?」



どうしてそうなるんだ。



僕がハンバーガー嫌いなのを知っているくせに。



「待ってますよー」



希有子が何か喚いていたが、いつものことなので放って置く。



くるくると変わってゆく君だけど、明るいところは変わらない。



鈍感なようでいて、いつも僕を気遣ってくれるところは変わらない。



本当ならば、言うべき言葉があるんだろうけど、面と向かっては照れくさくてまだ言えないから。



もう少しだけ、待ってて欲しい。



僕はお代を払って、「浪漫堂」を後にした。