彼女は窓際の椅子を一つ引いて、腰掛ける。



グランドを走るサッカー部の掛け声が、遠く聞こえる。



「きっと想像なんか出来なくて、もしかしたら聞くと引かれてしまうかもしれないけれど」



彼女は恥ずかしそうに俯く。



真っ直ぐな髪が、サラリと揺れた。



いいよ。



話して。



誰にも想像出来ないような話なんだろう?



そういう話が聞きたかった。



僕は君の話の辻褄が合うまで、いつまでだって話を聞いてあげるから。



怖がらないで話してごらん?



彼女は嬉しそうに笑う。



誰もが彼女をかわいいと思うのかもしれない。



他でもない僕だってそう思う人間の一人だ。