ハッピーエンド

「待ちます」



彼女は僕を見ていた。



僕も彼女を見ていた。



それは、一瞬のようにも、すごく長い間のようにも感じた。



「おじちゃーん、ラムネアイス2つ」



先に視線を逸らしたのは希有子の方。



僕もゆっくりと視線を外して、目を閉じた。



「待って、それでも僕が、君のところに行かなかったら?」



「希有子は結構気が長いですよ」



はい。とラムネアイスをひとつ手渡される。



「君は、それで幸せなのかい?」



「はい」



淀みない答え。



僕はラムネアイスを一口掬う。



さくりといい音がして、小さなスプーンの上にそれは乗った。