ハッピーエンド

こんなうるさい店で、騒がしいも何も無いが。



僕は汚い椅子を引っ張って、彼女の隣に腰掛ける。



ガタガタと不安定なのも、座布団が潰れて意味を成していないのもご愛嬌。



「冒険心が足りないんですよ先輩は。ここに来ると塩ラーメンばっかり。どこでも食べられるじゃないですかそんなもの」



頬を膨らまして、プリプリと怒ってみせる。



酒でも飲んだのか?



人の注文をそんなもの呼ばわりである。



こんなところで冒険心を発揮してどうするんだか。



「判で押したような生活してると、つまらない人間になっちゃいますよ」



「どうしてラーメンひとつからそんな話になるんだ」



「別に?変化を嫌う先輩を見てると、こう、息苦しくなると言うか」



余計なお世話だ。