ハッピーエンド

胡散臭い。と言う言葉が一番しっくり来る。



じゃあどうしてこの僕が、この店の前に立っているのか、である。



それは中で待っている人が居て、加えて僕はこの店の常連だったりするからである。



なんとも残念なことに、僕はこの木製の扉をナチュラルに開けることの出来る要素を、完璧に備えているのであった。





中に入ると、寂れた概観とは裏腹に結構な混雑具合。



むっとするような食べ物の篭った匂いも、少しすれば慣れてしまう。



流行っているな。



相変わらず。



ビール片手に盛り上がるオジサン達をかき分けて、きょろきょろと辺りを見回すと、スラリとした腕が「おーい」と僕を呼んだ。



「柏木先輩、こっちですよー」