あの頃の私は 本当の優しさに気付きもせずに 偽りの優しさに騙されていてばかりだった。 あたしは部屋の窓のそばに飾られている写真を見て、写真をかばんに入れた。 写真の中には笑顔のふたり。 君は覚えてますか? 君のとなりにいたあたしのことを―――。 「萌未、もう行くの?」 「…うん、お母さん、行ってくるね。」 あたしは5年経った今でも あなたを忘れていません。 もう 会えなくなるとしても、絶対に。