心のキョリは1センチ

何もなかったように、トランプを始める服部くん。


私はソファーに座ったまま動けなかった。


「あー、もうギブ!眠い!!」

佐藤くんが席を立ち、私の横に座る。


「葵ちゃん、僕と交代してよ。
さすがに眠いわ。
ちょっと寝ようかな。」


そう言って佐藤くんは、寝始めた。

「うちも眠い…」

それに続いて咲ちゃんも寝始めた。




もう2時を回っていた。



起きてるのは、
服部くんと私だけだった。



「葵ちゃん、起きてる…?」


「うっ、うん。
なんか寝れなくてさ。」

服部くんとの会話はどこかぎこちない。


「寝れないの?
こっちおいで。」

服部くんは、自分の横を叩きながら言う。


その無邪気な笑顔…

愛しくて仕方なかった。


服部くんの横に座った途端、
抱き寄せられた。


「これで寝れるでしょ!?」


温かくて、優しくて。

簡単に奪われた心。

その声も優しさも大好きだった。

包まれる感覚は、何よりも温かくて…


「付き合おうか!?」

服部くんが、耳元でささやくように言う。


7月27日。

この日が、記念日になった。