心のキョリは1センチ

「それじゃあ、お母さん仕事行くから
留守番よろしくね!!」


「気をつけてね!!
行ってらっしゃい。」


この日は、学校もなく家で留守番していた。

音楽を聞いたり、テレビを見たり
何も変わらない日々。



昼過ぎに一台の車が家の前に止まり
インターホンが鳴る。


様子を見に玄関に向かう途中
聞こえるはずのない声が聞こえた。


「殺すぞ…」


頭の中によぎる記憶。


殺される…。



パニック状態になり、たどり着いたのは
二階のベランダ。


「逃げなきゃ、飛び降りなきゃ
殺される…」


ものすごい錯覚が私を襲った。


ベランダの手すりに足をかけた時に、
急に息が苦しくなった。

息が出来なくて
意識がもうろうとする。








心の病は
私の心までも蝕んで行ったんだ。