心のキョリは1センチ

家に着いて
私は部屋に閉じ籠った。

なにが起きたのか分からない。

「葵、少しは寝なよ…」

お母さんが部屋に入ってきて
私の背中をさすってくれた。

「大丈夫。」

そう言ってお母さんは、私を抱きしめた。

でも何も感じなかった。


抱きしめられても何も…。


私は人形のようだった。


笑わず無表情。


何もする気になれず
まるで人形…。

大切なもの全て失った。


ひろ。


大好きな夜。


笑顔。


温もり。





心が痛かった。




家族にも傷を負わせた。






一睡もせずに朝が
来てしまった。