キミ色

本当は嬉しく想わなきゃいけないのだろう。
本当はもっと心の底から“ありがとう”って言わなきゃいけないんだろう。



そんな事分かってた。
頭の中では分かってた。


ただ…
気持ちがついていけなかった─…。



でも、そんな俺の気持ちなんかお構いなしに空羽は喋り続ける。



「あ!櫂ってバスケも上手かったんだね!!それから、1年の時に学級代表までやってたんだって!?びっくりしちゃったよ!!あ!後さ─……」



一方的に俺の話をし続ける空羽の口は止まらない。
きっと、今日蓮に全部聞いたんだろう…


次から次へと、空羽は色んな話題を持ち出してくる。
でも、そんな言葉なんて全て右から左へと流れていた。



空羽は、何も分かってないだろ?
後ろに見えてしまう花音に、そう言われてるように感じてるなんて考えたこともないだろう?



そんなに楽しそうに喋るなよ…
そんなに楽しそうに笑うなよ…



そんな話されても、楽しくも何ともないよ、、
面白くもなんともない─…。




俺は、コップを強く握りしめると勢いよく口の中に流し入れた。
さっきから言われてる言葉を全て呑み込むように、レモンティーを喉に通す。
全て、呑み込んでしまいたかった…。