キミ色

蓮が俺のことを心配して電話をくれているのに、俺の頭の中はさっきまで花音でいっぱいだった…。
そう想うと、自然とまた罪悪感に襲われてしまう…



《…ねぇ、櫂?》


《ん?何?》



普通に返したつもりなのに、蓮はなかなか言葉を発さなくなってしまった。
そのまま、少し時計の針が進む。


《……やっぱ、いいや。》



そう言った蓮の言葉に、途端に?で頭の中が埋め尽くされる。



何を言おうとしたんだろう…
そう想ったが、問い詰めるのも嫌だと想った俺は素直に受け止めた。



《そう?なら、いいけど。》


《うん。あ!明日、絶対学校来てよ!?》


《分かってるって》


《じゃあ、約束ね!?》


《うん。じゃあな》


《ばいばい。》



俺は最後の蓮の言葉を確認して、電源ボタンを押すと携帯をパタンと閉じた。



本当はこの時に、気付いておくべきだったのかもしれない。
この時、寂しそうに言っていた蓮の言葉に…
心配そうに言っていた蓮の言葉に─…



そうすれば、蓮の気持ちも傷つけずにすんだのかな─…。