キミ色

そんな時、俺のジャージのポケットの中で携帯が震えだした。
一定の速度で震え続ける携帯を取り出すと、画面には《蓮》と表示されている。



俺は慌てて電話に出ると、さっき考えていたことを一瞬で揉み消そうとした。


《も…もしもし?》


《もしもし、櫂?》


紛れもなく蓮の声だ。
俺は、一息ついてから蓮に用件を聞いた。



《どした?何かあった?》


《別に、用件とかないけど…お昼何食べてるかなーと想って!!》


その蓮の声に掛け時計を確認すると、確かに時計の針は12時50分あたりを差していた。
丁度、学校も昼休みの時間なのだろう。


《え?飯─…》


そこまで言って、俺の言葉は止まってしまった。
流石に空羽の手作りを食べてました、とは言えない…


《ちゃんと食べてんの?!》


《あぁ…、食べてない。》


咄嗟についた嘘。
また、俺は嘘を重ねるんだ─…



《駄目だよ!!ちゃんと食べないとっ》



《うん、分かってる》