キミ色

「あの花火ね、ママが買ってきてくれたんだ。」


「─……」


切ない声でそう言う蓮の目は遥か遠くを見ているようだった。



「櫂との話するとね、ママ凄く楽しそうに聞いてくれたの。真剣にあたしが悩んでた時も助けてくれたりしてね、、」


「うん」



「櫂は初めて自分から好きになった人だからさ…、気持ち伝えるのもさ、凄い怖くて、震えててさ、、ママがいたからあたしは櫂と付き合えたと想ってる。」



「うん」



「でも…、そんなママがいなくなって、怖くなっちゃったんだ。…きっと。─…それと」



「それと…?」



「迷惑かけたくない、と想った。最初はさ、隠し通せるかもしれないとか…色々考えた。でもね、聡もいたし、嘘なんかついても確実に隠し通せない、と想った。だから、あの日“別れてほしい”っていったの─…」



「─……。」



「それから、ママも櫂もいなくなって、苦しかった。頼りとしてたものを全部手放して、辛かった。だから、少しでも櫂を忘れる為に、ママを思い出さない為に、尚先輩と付き合ったの。」