キミ色

袋を持ったまま笑顔で走ってくる蓮は、蓮が座っていたベンチの上に袋を無造作に置くと聡クンのところまで走っていった。



「さぁとし!!」


「何?」


「暗くなってきたし、やろっか!?」



蓮がそう言うと聡クンは大きく頷いて俺の方まで走ってきた。
ベンチまで来ると、袋を開けろ、というように俺に袋をさしだしてくる。


「開けんの?」


「っうん!!!」


外は暗いのに、聡クンの顔は妙にキラキラと輝いて見えた。


この笑顔を蓮はたった1人で守り続けているのだろうか…?
こんなにも無邪気な笑顔を、、、



体力切れか、泣き疲れか、もう走るのはしんどいと訴えるように、蓮はゆっくりベンチまで歩いて戻ってきた。


つい、蓮の顔をじっと見てしまう。
勿論、その視線に気付いたのか蓮は不思議そうに俺を見てきた。



「どうかした?」



聡クンに負けないぐらいの笑顔でそう言う蓮は、どことなくいとおしく、そして切なく見えた。