キミ色

夕方というよりも夜に近づいてきた公園は少し肌寒くなってきた。
周りにはもう聡クンが走り回る姿しか見られない。


静かに泣き続けている蓮に、来ていたジャージをかけると蓮はようやく少しだけ笑顔を見せた。



やはり、無能な俺はどうすることも出来ず、ただただ黙っていた。
公園で泣き続ける蓮を見守っていることしか出来なかった。



少し落ち着いてきたのか、蓮の目からは序々に泪が消えていった。



「…ごめん。」



真っ赤な目をして顔を上げた蓮は、まず俺に謝った。
蓮が持っていたオレンジジュースは泪と混ざり合っている。



「はぁ─…、でも、なんかモヤモヤしてたの取れたかも」


そう言った蓮は、もうすっかり元通りの蓮だった。


いつも明るくてしっかりしている蓮が、あんな苦しみを抱えているなんて誰も想像出来ないだろう。



でも、あの苦しみがあるからこそ蓮はいつも明るいのかもしれない。
少しでも暗くなったら、自分の弱みを見せてしまいそうで…
蓮はこの事をきっと心の奥底に閉まっているのだろう。



「あ!ねぇ、櫂もやらない!?」



思いついたようにそう言う蓮は急に立ち上がり、大きな木の下に行くと袋を持ち上げた。
その袋には“大型花火セット”と大きく書いてある。