キミ色

「ありがと。あ!でも、今度絶対返すからね!!聡の分も!!」


「いいよ別に。」



「駄目だってば!!もうちょっとで今月のバイト代入るしさ」


そう言って聡クンの様子を目で追う蓮。
それはまるで、子供を見守る母親のような優しい目だった。



「でも、びっくりした。蓮に弟いるなんて知らなかったし」


「あぁ、聡のこと?」



「うん。蓮、俺に家族の話しなかったし」


「そっか…、そうだね。」


少しの間沈黙が続く。
蓮の表情はどことなく儚かった。



まさか、俺がこんな簡単に聞いた言葉が、蓮の心を少しずつ傷つけていたなんて想ってもいなかった。






「ママもねパパもね…いなくなっちゃった─…。」