キミ色

荒い息遣いをしながら走ってきた女の子は、顔を上げるのも精一杯といった感じでしんどそうな表情をしている。


「すいません、、はぁ、、はぁ、、、聡…早く降りなさい!」


そう言ってようやく顔を上げると、女の子はびっくりしたように一歩後退りした。


「っはは!!」


その顔がすっかりツボにはまってしまった俺は、無意識の内に笑っていた。




「……櫂?」


目の前にいたのは、紛れもなく蓮だった。



「お兄ちゃん!ジュース欲しい!!」


くったくのない笑顔でそう言う聡クンは、俺の顔をずっと見つめてくる。


「ちょっ…!止めなさい聡!!迷惑でしょ!?」


間髪いれず慌しく止めに入った蓮は、俺の腕から聡クンをひょいっと取り合げ地面に下ろした。


「あんた、櫂になんてこと言うのよ!?もう…」


怒っている蓮を横に聡クンは不満足そうに拗ねている。
俺は今買ったばかりのコーラを聡クンの顔の前に差し出した。


「はい、あげる。コーラだけど、、飲める?」


「……うん!!飲める!!!!」


そう言ってキラキラとしたとびきりの笑顔を見せると、紙コップを小さい両手で大事そうに掴み飲み始めた。