キミ色

「お前の様子が変だったから心配してきてみたら、何だよこれ?」


体が固まり、声が出ない。
本当の事を言えばいいだけのことなのに。



「なぁ櫂!何とか言えよ!!お前、空羽ちゃんの何なんだよ!?」



時雨は完全にキレているらしく、俺の胸ぐらを強く掴んでくる。
壁に押さえつけられたまま、何も言葉を発せない。



「………苦しい─…」



やっとの想いで出た言葉は、この4文字だった。
時雨は少しだけ落ち着きを取り戻し、手を緩めた。



「悪ぃ…俺、冷静んなれねぇわ。」



「ごめん…」



「それは、一体どうゆう意味の“ごめん”だよ?」



「ごめん…」



その時、玄関の方で音が聞こえてきた。



「ただいまぁ」



無邪気なあの声の持ち主はキミしかいない…。