キミ色

「おい!!」


そう言って、時雨の腕を思い切り引っ張り俺の方に無理矢理向けた。
もう、空羽の顔を見つめてる時雨の姿を見たくなかった。
そしてあの空羽の表情も─…。


少し不服そうな顔をする時雨を軽く睨みつけ、溜め息を零す。



「あぁ…ごめんごめん。」


苦笑いで軽く謝ると、時雨は急に俺の筆箱から適当にペンを取り出すとグループ分けと書いてある所の下に何かを書き足し始めた。


「これで良し!っと、でもなぁ、後1人どーしよっか?」


満足げに紙を見つめる時雨。
紙には、“オレ、カイ、クウちゃん☆、”と書き加えられていた。



何でだよ…時雨。
なぁ、何でお前は花音から離れようとするんだよ…


絶対に嫌だ、絶対に反対だ。
お前が花音を見てやらないと、花音は笑顔になれない…
花音はお前をきっと想ってるのに…



気がついた時には、俺は大声を張り上げていた。



「おい、時雨!!お前、何でも勝手に決めんなよ!!!!」



無意識の内に荒げてしまっていた声は教室中に響き渡り、時雨だけでなくクラスの皆が唖然といった様子で俺を見つめていた。



「え……?櫂、何かあったか?
お前いっつもこんな事ぐらいで怒んねぇじゃん…?」



心配そうに俺の方を見る時雨の質問に、俺は黙り込んだ。
確かに、俺は今まで全部時雨に決めてもらってきていた。
グループなんかどーでもいい、と言って。


でも、今回は話が別だ。
時雨に思いっきりガンを飛ばす。