キミ色

「何もないよ。」



少し笑って隠すと、俺は立ち上がった。



「本当に?」



空羽は出て行こうとする俺を追いかけてくる。




「何もないって」




そう言って、扉をあけようとすると空羽は俺の背中に言葉を発した。




「そう、、、
あ!っねぇ!あたしさ、櫂のこと─…」



「─………?」



「─……いっつも見てるから!!あたし、いつも自分のことでいっぱいいっぱいだけど、、でも!櫂のこと見てるからね…」




言葉を聴き、俺は扉から手を放した。
さっきとは違う場所で、でも同じように響く余韻。




俺の気持ちも変わっていた。