キミ色

少しがっかりした気分で空羽の質問に答えると、空羽は何かを察知したように俺の目の前にしゃがみこんだ。



「どした?」


「ん?何が?」



「何かあったんでしょ?」


真面目な顔をして俺の目をじっと見つめてくる空羽。



何で、空羽には分かってしまうんだろう?
あまり顔に出ない方だと時雨も言っていたのに。


やっぱり、お前は花音に似てる…。


花音も、俺の変化に人一倍敏感だった。
悩んでいても、不安に思っていても、悲しんでいても、ショックを受けていても…



花音は、空羽のように俺に聞いてきた。



“どした?”って…



そして、俺はその言葉に人一倍弱かったんだ。
まるで自分のことのように俺のことを心配して聞いてくれる、その花音の言葉に。



「櫂?」



顔の前で手を振る空羽は、不安そうに俺を見つめてくる。
その顔だけで、何故か俺の中のモヤモヤが消えていくようだった。