キミ色

いろんな事があった。
人はたった半年と想うかもしれないが、俺にとってそれは危ない1人旅の始まりで…。


危険な橋も何度も渡った。
でもその分、時たま見れる綺麗で透明な景色は最高だった。


そんな想い出もいつかは色褪せていってしまうのかな…?



昔話をして笑い続ける俺達。


デートの時、俺がいつも遅刻して待たせた事。


体育祭の後に初めてキスをした事。


夏のキャンプで肝試しをした事。


言い出すとキリがないくらい次から次へと話題は尽きなかった。



「本当に…!こんなにいろんな事があったのは櫂が初めてだよ!!」


「まじで?!」


「本当だって!!こんなに喧嘩したのも初めてだったし…!!」


無邪気な笑い声が広がる屋上。
まるで、俺達は恋人同士みたいに語っていた。


「俺も全部初めてだったよ?」


そう、俺にとっては蓮が全部初めてだった。
彼女という存在の大きさとか、相手の気持ちとか…
全部、蓮に教えてもらったのだから。



でも、そう言うと蓮の表情は少し曇っていった。
そして、小さくつぶやいた。



「そっか…
なんか、申し訳ないな…。あたしなんかが最初で…」



視線が地面に向かっていく蓮。
元気のない声が屋上に響いた。