キミ色

全ての時間が止まってしまうかのようだった。
ぞっとする背筋…



時雨なのに…
時雨なのに、なんでこんなにびくびくしてんだよ…




自分自身が嘘みたいに固まっていくのが自分でも分かる。





「俺…戻るわ」




どうしてもその場から離れたくて、そんな言葉を口にだしていた。




できるだけ平気なフリをして歩きだす。
でも、時雨の一声で俺は足を止めた。




「櫂!」




振り返ると時雨は笑っていた。
少し大きい石の上に足をつける時雨は、まるで芸能人のようにかっこよく笑っていた。




久しぶりに見た時雨の笑顔…
でも、この場所だったらそれだけじゃない。




花音が…
花音の笑顔まで浮かんできちゃう…




「櫂、ちょうどよかった。話そうと思ってたんだよ。」




「…………―――。」










「…花音のことで…―」