キミ色

「空羽ちゃんのこと嫌いなの…?」



俺の様子を見て、お母さんが口を開いた。




違う…
そうゆうことじゃない。



違うんだよ…―




「別に…、ごちそうさま。」



それだけ言葉を残し、リビングを後にした。



「っちょっと!っ櫂くん!」




呼び止めた声が聞こえていたけど、そのまま階段を上った。



花音の部屋の前で立ち止まる。




少しだけ入ってもいい?
花音に浸りたいんだ…



ドアノブをぎゅっと握り少しだけ扉を開けた。



ピンクで統一された綺麗な部屋。
でも、中身は花音で溢れてる。




俺はきっちりドアを閉めると、部屋の真ん中に座った。




久しぶり…懐かしい。
この感覚、感触、雰囲気…



全てが花音で、丸い机の上に置いてある2年前のカレンダーには花音の字があった…




間違いなく…居たんだ。
2年前までは。



幻なんかじゃなく、キミは俺の隣に居たんだ。



この部屋がその証拠だと想った。