キミ色

「はい、いつもの。」



その声と同時に俺の前にバターと焼きたてのパンが置かれた。
おいしそうな匂いがぷんぷんする。



「いただきます。」



花音からパンを守ることなく、落ち着いてパンにバターをつけ口に含む。



その味は変わることなく美味しい。
だけど…、いつもちょっとだけ虚しいんだ。




「あ、ねぇ櫂くん。空羽ちゃんと上手くやってくれてる?」



「…あぁ、一応。」



「そう、ならよかった。凄く心配だったの…。ほら、無理矢理おしつけちゃったでしょ…?」



「連絡ぐらい入れてくれてもいいじゃん。」



「ごめんね。入れようとは思ってたんだけど…」



お母さんはそう言いながらホットレモンティーを俺の前に置いた。




「それでね、一応言っておくけど…明日空羽ちゃん達うちに来るから。」



「―――!?」



思わず今含んだレモンティーを吹きそうになった。


は…?
うちにくる?!